2017年6月10日土曜日

絵が描きたくない!の理由

学生の頃の話。
教育学部の中にある美術科に通っていた私は、3年になるぐらいになるともう絵なんか描きたくない!という気持ちになっていた。
それは、周囲の学生たちの絵の上手さと自分の下手さを比べて、一向にうまくならないことを呪ったからか。
思い通りにならない自分の技術力にいらだったからか。
正直、嫌になった理由は考えなかった。
考えたって仕方がなかったからだ。嫌になろうとも、課題は出さなきゃいけないし。
ずっと絵を描いてきたので、嫌いになったことを認めたくなかったところもある。
本当は好きじゃなかったんだとか思いつつも、それを理解はしたくなかったのだ。

しかも、嫌になったくせに絵は描き続けていた。
漫画研究会に入っていて、そこでは年二回学園祭の時に部員の漫画をまとめた冊子を出していた。
部活というと、絶対全員参加!とかそんなイメージを持つかもしれないけど、ここでは自由参加。
だからこそ、入部したときは出せるものには全部出すと決めていたのだ。
頑固なもので、嫌になってもはじめに決めたそれを諦めるつもりはなかった。
そして多分、その頑固さが嫌になった理由の一つなのだと今は思う。

絵はこう描かねばいけない。こだわりといえば聞こえがいいかもしれないが、ただただ頑固にそうやって決めつけていた。
その思い込みが、自分を苦しめていた。
頭では違和感を感じながらも、決めつけたその描き方以外できない。
自分がやりたいことを、全部自分で否定し続けていたのだ。
やりたいことが何もできなくなったとき、その時きっと嫌になったのだと思う。
周囲の人間の上手さより、きっと私はその自由な発想にイラついていた。
自分で制限したくせに、なんでお前たちはそんな勝手なことをしてるんだといらだっていた。
そうなんだと思う。

子供たちは、中学生になるころに絵を描くのが嫌になるらしい。
思い通りに描けない。想像と現実とのギャップ。
教育を学んでいるとそんな言葉がならんでいたのを覚えている。
それもあるんだろうけど、私はもう一つ思う。
人が求めている(と思っている)絵と、自分が描きたいもののギャップだ。
中学生の美術部の展覧会の受付をしたことがある。
ボーカロイド、ガンダム、野球漫画のキャラクター…
そんな絵が並んでいる。
あのころは、大人はわからないと思って描いているのかしら?とか思っていた。
美術展にそういうモチーフを描くことはタブーのように思っていたからだ。
今思うのは、子供たちはそういう絵を描きたいんだということ。
でも、美術で求められるのは写実的な絵。
描きたいものは、描かせてもらえない。
何となく、子供の頃でも漫画やアニメの絵を描くのはタブーに思えた。
でも、学校の先生はどうしてかなんて教えてくれない。
とにかくダメなものはダメ。
こうやって、描きたいものを否定されたら、嫌になるのは当たり前な気がする。

他人であろうと、自分であろうと、否定し続けたら嫌になる。
描きたくなくなったのはそのせいだ。
もっと、自由なんだ。
そう、思いたい。

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