2017年9月21日木曜日

丁寧に描く

私は丁寧に描くということが苦手。
時間をかけて描くということがどうしてもできなかった。
よく、絵は手を入れ続ければよくなっていくなんて言うのだけど、それもよくわからなかった。

というのも、いったいどこの時点で完成と言ったらいいのかわからなかったから。
デッサンを練習していても、先生がここまでと言ったところが完成形だった。
誰かがこれでいいと言ったものが、私にとっての完成形だったのだ。
まあ、つまり誰かの評価に依存していた。
だから、課題だからと自分なりに時間をかけて描いたものと、気晴らしに適当に描いたものを並べて、気晴らしに描いた方がいいと言われたりすると、やっぱり丁寧に描く必要ないじゃんと思ってしまう。
(今思えば、気晴らしに描いた方がいい感じに力が抜けていてよかったのではないかと思う)

何故、そう思うようになったのか。
私が思い当たる原因は二つある。

一つは子供の頃のことだ。
子供の頃、周りには絵を描く友人が何人もいた。
他人がいれば子供だって比較する。
友人の中にとても絵の上手い子がいた。
なんでだろうと思っていたら、その子は、最近はあまり見かけないけど雑誌の裏に載っていた通信講座で絵を習っていたのを知る。
私もやりたいと言ったけど、子供だから親の許可がなければできない。
やらせては貰えなかった私が考え出したのは、上手さでは敵わないからスピードで戦おうという戦法だった。
私の通っていた小学校の休み時間は2種類あった。
10分と20分。20分だと子供たちはみんな外へ遊びに出る。
だから教室で待つ10分の間に一つ描けるようにと必死に描いたのだ。
多分このころ、上手さは敵わないから速さでというのが身についてしまったのだと思う。
じっくり丁寧に描くことは、負けることなのだ。

もう一つは、速く描くことに関連しているが、私がデフォルメが好きな事がある意味原因だったのだと思う。
好きではあったものの、しっかり時間をかけて描いたつもりのイラストよりもササっと描けてしまうデフォルメの方が評価が高いと時間かけても意味ないじゃんと思ってしまう。
やっぱり、これぐらい時間をかけたんだという過程をついつい評価してほしいと思ってしまう。
でも、そこは評価の対象じゃないのに気が付くのがだいぶ遅かったので、ふてくされていた。

とにかく、勝ち負けにこだわっていた気がする。
絵で勝つにはどうしたらいいんだろう。
一番になりたかった。なんでかは忘れたけれども。
けれども、上手くない絵を速く描けても敵いはしない。
それどころか、ある時絵の上手い子が、やっぱり貴方は速く描けるねと先生に言われていたのを聞いた。
むかついた。
早くうまくならないとと、もう、その時点で焦り始めていた。
でも、そんなにすぐにうまくなる方法はなく。

とにかく、速く描けることだけにプライドを持っていた。
そこだけは、その上手い子に認めてもらっていたから。

だから、どんなに下手だろうと”速く描けること”は捨てられなかった。
時間をかけたくなかった。
でも、それじゃうまくはならない。
上手くならないと、面白くない。
面白くないから、気が付くと雑になる。
悪循環だった。

そんな私が丁寧に描こうと最近思い立った。
理由は、上手くなろうとかそういうことじゃない。
フルデジタルで描いたものがあまりにも雑すぎたからだ。
私はアナログで線画まで描いて、デジタルでトーンなんかを入れるという方法で漫画を描いていたのだけど、それだととくにページが多いとスキャンが大変だった。
だから、フルデジタルにすれば速くできるはず!…と思ったのだけど。
やはり慣れていないから、いつもよりもめちゃくちゃ時間がかかってしまった。
イベントに出すので締め切りがある。
それに間に合わせなければと、これでいいやなんて雑になっていた。
出来上がったものを見ると、何とも言えなかった。
なんだか気が抜けて、全然何も手につかなくなったぐらいだ。

だから、今度はちゃんと描こうと思った。
デジタルで下書きを描くと、何故か途中でこんなもんでいいだろとなるからアナログで。
アナログでも、いつも以上に丁寧に。

そしたら不思議だ。
自分のデフォルメじゃない絵はあまり好きじゃなかった。
そのはずだったのに、何度も直して、よしいいだろうと自分で納得した絵は嫌いじゃなかった。
好きとか嫌いとかじゃなくて、楽しかった。
描いては直して、描いては直して。
今までだったら、めんどくさくてやめていたのに。
楽しかった。

雑に描くことは、結局のところ絵に対しても雑になる行為だったのかもしれない。
丁寧に丁寧に、向き合っていこう。

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